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2025年12月20日(土)に師走会が開催された。師走会の前半では、本年度プロジェクト(以下、「PJ」)メンバーからのアンケート結果の発表ののち、関連したトピックに関する討論会が行われ、社会人会員と学生会員が議論を交わした。後半では、軽食を交えた交流会のほか、音楽の披露や、本の交換会が行われ、盛会となった。

【PJアンケート結果の発表】

① 2025年度PJの背景
2025年度のPJでは、近年議論が巻き起こってきた「雇用形態の変化」、「AIを中心とするテクノロジーの進展」、そして「外国人就労者の受け入れ」という3つのテーマについて、文献調査・インタビュー・アンケートなど多角的な方法で研究が進められた。まず雇用形態の面では、日本企業において「メンバーシップ型」から「ジョブ型」への移行が確実に進んでいることが確認された。一方で、テクノロジーの発展、特に生成AIの導入も企業に影響を与えており、2024年から2025年のわずか一年で、AIを「全体的に導入している」と答えた企業が倍増しているというデータが共有された。また、近年日本では、専門的・技術的分野での外国人労働者が増加している。日本では大学院への進学率が諸外国に比べて依然として低いことから、高度専門人材の育成が今後の課題として浮かび上がった。

② インタビューおよびアンケートの結果
2025年度PJでは、企業関係者、大学生、市役所職員、若手社会人へのインタビュー、および1078人の若者へのアンケートが実施され、これらの結果を踏まえた興味深い結果が発表された。結果として、若者は雇用に関して「ジェネラリストよりもスペシャリストを志向する」傾向が強く、年功序列制度には否定的な傾向を持つことが分かった。AIの導入については、10年以上の社会経験を持つ社会人層で「人間の能力低下」を懸念する意見が多かった一方で、若い世代では「業務効率化」として前向きに捉える傾向があり、世代間の差異を示す興味深い結果となった。外国人との協働については、73%が肯定的な姿勢を示した。高等教育に関しては、進学希望者が全体の約半数にとどまり、進学に否定的な理由として経済的負担や「学ぶより収入を得たい」という現実的な理由が多く挙げられた。これらの結果を踏まえ、2040年までの労働環境の変化に対応するためには、高等教育の在り方を考え直すことの必要性が浮かび上がった。また、社会の変化に柔軟に対応できる人材を育成するためには、単なる知識の習得ではなく、問題意識を持ち、問いを立て、自ら解決していく力を養う教育が重要であることが示唆された。

③ 質疑応答
参加者からは、「若者が雇用形態の変化に対して危機感を抱く要因は何か」、「AIを悲観的に捉えるのではなく、むしろ若者が業務効率化のツールとして利用していけるのではないか」、「学生と社会人、または文系と理系でアンケート結果に違いは見られたか」など多くの質問が飛び交い、活発な質疑応答がなされた。

【討論会】

その後の討論会では、「AIは我々の能力を純化させるか」をテーマに、社会人と学生の間で意見を交わした。全体的には、AIを業務効率化のツールとして前向きに取り入れ、活用すべきだという意見が多かった。一方で、AIが将来的にいわゆる「ホワイトカラー」の仕事を奪うことになるのではないかという懸念の声が聞かれたとともに、高校生からは、中高教育でAIを過度に利用すると、自分で考える力が身に付かず、物理などの基礎学力が十分に身に付かない恐れがあるという指摘がなされ、賛否両論の意見が飛び交った。討論の後半では、今後AIを上手に利用していくにあたり、AIリテラシー教育をどの段階で行うべきか(高等教育なのか、それとも義務教育の段階から導入すべきなのか)という問題が話し合われた。

「AIは我々の能力を鈍化させるか」というテーマで討論会を行っている様子

【全体私感】

発表と討論を通じて、「将来的にどのような能力が必要になるのか」そして「教育はどう変わるべきか」という問いに向き合うことができた。日本で雇用形態の変化、AIの進展、外国人人材の増加に伴う変化に対応できる人材を育成するために、社会・企業・教育機関が連携して、若者が未来の労働環境で活躍できる環境づくりを進めることが課題であると感じられた。師走会を通じて、個人的には、自分自身が身につけるべきスキルを考え直す機会になったほか、自分より下の世代が受ける教育がどう変容するのか注目していきたいと考えるようになった。下の世代である高校生や、すでに現場で働いている社会人と一緒になって「問を立て、自ら考え、解決を導く力」を養うことができるKIPの存在意義を、強く感じる師走会にもなった。

多様なKIPの仲間達