講師:マイケル大本氏
マイケル大本氏はロサンゼルス出身の日系人4世。成人後の人生を日本とアメリカで過ごす。カリフォルニア大学アーバイン校で、心理学を専攻、哲学を副専攻した。日本で英語教師として従事した後、ソフトウェア工学を学び、シリコンバレーでスタートアップ企業,メルカリ、プレスト等を経て現職へ。(ディスカバリーニッケイより一部抜粋)
【スピーチと質疑応答】
今回のフォーラムではGoogle JapanにてEngineering Manager をしているマイケル大本氏にご講演頂いた。まずケーススタディとしてLINEやPokemon GO、ChatGPTなど身近な例から、それらのプロダクトは自分の情報をどこまで取得しているのか、またその情報を取得されていることでどのようなリスクがあるのかお話しいただいた。その後ケーススタディを元に、現代のプライバシーフレームワークの現状について“creepy“と“useful“という二つの観点によりプロダクトの扱う個人情報の領域を分けてお話しいただいた。参加者からは、プライバシーの保護と製品の利便性のバランスや、広告やコンテンツの過度なパーソナライズ化への懸念、日本企業における個人情報保護体制の成熟度などの観点について活発な質問が飛び交った。
【全体討論】
プライバシー保護のためにどういったレギュレーションや法律の制定が効果的なのか、について全体で討論を行った。まず現在の個人情報の取り扱いの問題点として、個人情報の取り扱いに対するユーザーの裁量の余地が少ない点や、広告の過度なパーソナライズ化によるユーザーの意思決定への影響への懸念や、広告が巨大な利益を生み出す産業として肥大化している点などが挙げられた。それに対する解決策として、広告で得られる利益に制限をかけることや、個人情報の利用への同意を取る際の仕組みへの複数の工夫などが挙げられた。またデジタルな個人情報の保護について考える際には、世代間の差や個人の考え方の違いによって大きな捉え方の差が出てくることに留意すべきという意見も複数挙がった。
【全体私感】
自分の個人情報がどのように扱われているのかについては、アプリのインストール時や規約の改訂時など、意識する機会はこれまでにも何度もあった。しかし、不安を感じても、すぐに不都合が生じるわけではないため、つい深く考えずにスルーしてしまうことが多かった。しかし今回、スピーカーの方の、プライバシーとは人が自由に生きていくことを保証するためのものであり、人権の一部であるという言葉を聞き、プライバシーは便利さのために安易に手放してもよいものではなく、自分の尊厳や自由な生き方を守るために、慎重に向き合い、何のためにどこまで利用していいか精査すべきだと強く感じた。
武蔵野美術大学造形学部2年 松本 楓