講師:鐏京香氏
2022年慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、モルガン・スタンレー投資銀行部門に新卒で入社。Auto, Transportation, Healthcare, Chemical, Consumer Retail, Basic Materials, Global Power & Utilities, Trading companiesを担当するGeneral Industries Groupに所属。現在4年目として、特に 消費者小売業Consumer Retail及び化学薬品Chemicalを担当。該当業界のM&A、資金調達の提案及び執行を担う。
大学入学当初より、KIPに入会し様々なプロジェクト、海外研修、地域研修に参加。委員会では委員長も務めた。
【スピーチと質疑応答】
これまで為替や上場企業の動向といった経済ニュースに対し、難解な印象を持ち、深く触れる機会は少なかった。しかし、本講義および事前学習を通じ、経済が想像以上に複雑でありながら、刻一刻と変化するダイナミックな世界であることを痛感した。 特に印象深かったのは、ACTによるセブン&アイ・ホールディングスへの買収提案を時系列で追うケーススタディである。また、投資銀行の業務内容についても、普段のニュースからは見えない側面を知ることができた。具体的には、個人投資家が逆張り(価格下落時の買い)を行うことで市場の安定化に寄与している点や、外国人・機関投資家が市場の主要プレイヤーとして活性化を担っている点などである。企業ごとに最適な株主構成(ポートフォリオ)を構築するという業務視点は、私にとって全く新しい発見であり、資本市場の奥深さを学ぶ貴重な機会となった。
【全体討論】
討論では「外国資本による同意なき買収が日本のプラスになるか」というテーマについて議論を行った。私はこのテーマに対し「プラスになる(賛成)」という立場をとった。理由は大きく2点ある。第1に、買収の圧力は企業にとって「経営改革への強力な刺激」となり、結果として生産性の向上につながると考えたからだ。第2に、高額なコストを支払ってでも買収を行う背景には、対象企業にそれだけの「隠れた価値」があることを示唆しているからである。買収側がその価値(利益)を享受するためには、買収先企業の持続的な成長が必要不可欠である。従業員を不当に扱えば企業価値が毀損し、元も子もなくなるため、敵対的買収であっても、必ずしもネガティブな結果ばかりではないと推察した。この意見に対し、他の参加者からは「楽観的すぎるのではないか」という指摘も受けた。企業が実際に何を目的として買収を仕掛けるのか、その後の統合プロセスがどうなるのか、今後はニュースを通じて実態を見極めていきたい。
【全体私感】
本フォーラムを通じて、経済には多種多様なアクターが存在し、相互に影響し合う複雑さを再認識した。同時に、日本経済が抱える「稼ぐ力の弱さ」と「設備投資への資金循環の滞り」という負の側面についても学びを得た。遊休資産を活用し、投資を活性化させることがこの悪循環を断つ鍵であると理解した。これまで私は、単に利率が良いという理由で海外銘柄への投資を行っていたが、今後は考えを改めたいと思う。日本の産業を後押しするという視点を持ち、国内企業への投資も積極的に行うことで、微力ながら経済循環の一助となりたい。最後に、多様な視点からの意見に触れ、経済への解像度を高める貴重な機会をいただいたことに深く感謝したい。
東北大学工学部3年 阿彦鼓太郎
